島根県には、世界中に日本庭園の素晴らしさを伝える足立美術館がある!

日本庭園と日本画の融合という特徴的な美術館が、島根県の東部にある。世界的にも評価が高く、アメリカの日本庭園専門誌でも14年連続ナンバーワンを誇る。また、海外へのアプローチをいち早く進め、今では島根県や鳥取県の外国人団体ツアーの重要な観光ポイントだ。その取り組みと魅力について紹介する。

生の額絵ともいうべき、額縁のような窓から庭を望む
生の額絵ともいうべき、額縁のような窓から庭を望む

ポイント:

・海外展開をいち早く始めたことで、認知度が高く、島根県では外せないスポット
・日本画と日本庭園の世界観を融合した、京都にはない個性的なデザインが魅力


■海外メディアで14年連続ナンバーワンになったことによって知名度アップ

島根県の安来(やすぎ)市にある足立美術館が、外国人観光客の受け入れを伸ばしている。2012年度に年間10,007名だった外国人客が、2016年度には24,629名と約2.5倍増となっている。

足立美術館は1970年に設立されたが、設立当初は外国人観光客は少なかったそうだ。ブレイクするきっかけは、「2003年にアメリカの日本庭園の専門誌(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)が選ぶランキングで日本一に選ばれたことが大きかった」と足立美術館の広報担当者は述べている。全国の日本庭園900カ所以上の中から選ばれ、その後14年連続でナンバーワンの座に君臨し続けている。
さらに、フランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも、最高評価の「3つ星」として掲載されている。

白い本館の外観と緑の庭園のコントラストが美しい
白い本館の外観と緑の庭園のコントラストが美しい

そのような評価が手伝って、多くの海外メディアからの取材が増え、さらにSNSなどによるクチコミ効果で、国内外における知名度が飛躍的に高まったのだ。

一方、足立美術館の海外への地道な営業努力も忘れてはならない。それは、海外の旅行商談会への参加や各国の旅行会社を訪問する等、早くから営業活動をしていたことも関係している。
2000年初頭には台湾や韓国の商談会に出展して、美術館のPR活動を行った。当時は、今ほど日本からの出展ブースは多くなかったそうだ。
2006年及び2008年には、アメリカの西海岸、東海岸の美術館や植物園や領事館でもプロモーションを実施している。

足立美術館は美術館としては珍しく、組織内に営業部を設置している(現在は3人のスタッフがいる)。積極的に海外プロモーションをしていったのは、足立美術館の創設者・足立全康さんの意思として、日本庭園や日本画の素晴らしさを国内外、多くの方に知ってもらうというミッションがあったからで、インバウンドに早くから予算をかけることができたためだ。
国内や海外の旅行会社に向けて、足立美術館を目的地としたツアーを造成してもらえるよう働きかけを続け、その成果が実ってきたのだ。

本館の正面にあるのが「枯山水庭」だ
本館の正面にあるのが「枯山水庭」だ

海外では日本庭園への一定のファン層が存在しており、個人で来る方は日本庭園を目的にやってくる場合が多い。京都などを含め、日本の庭園を全国巡るツアーもあるという。
団体ツアーについては、特に日本庭園ファンではないものの、パンフレットで見た足立美術館の日本庭園に関心を持ち、参加される方も多いそうだ。
また、今までに研修目的で外国人の庭師を5人受け入れており、「彼らからの口コミも少なからず影響している」と広報担当者は語っていた。

■日本画を庭園で再現するユニークなデザイン性が高く評価

足立美術館には6つの鑑賞式庭園があり、来場者は館内の回廊を歩きながら鑑賞する。庭園の広さは5万坪で、東京ドーム3.5個分だ。また美術品も多く、近代日本画の巨匠である横山大観の120点にのぼる名品や北大路魯山人の陶芸や篆刻(てんこく)など近代から現代の美術品を約1,500点所蔵している。横山大観のコレクションは、質量ともに日本一を誇る。

足立美術館の日本庭園は、京都のお寺の庭園とは異なる世界観が特徴だ。「日本画と日本庭園の調和」というコンセプトがある。
創設者の足立全康氏が最も力を入れたのは、大好きな横山大観の世界を庭で表現することだった。代表的なものとしては、名作「白沙青松」をモチーフに作られた「白砂青松庭」だ。 そして「那智乃瀧」をモチーフにした「亀鶴の滝」もある。床の間の掛け軸のあった壁をくり抜いて、本当の景色が「生の掛軸」として楽しめるようになっている。
窓越しに広がる石組みで配置された山々、白い砂で水の流れを表現した「枯山水庭」など、その世界観に多くの外国人客が感動するという。

この「白砂青松庭」は横山大観の「白沙青松」をモチーフに
この「白砂青松庭」は横山大観の「白沙青松」をモチーフに

■日本庭園の魅力を伝える営業活動も人気を支える力だ

足立美術館では、島根県や鳥取県と連携して、モニターツアーの受け入れにも積極的だ。
県の招聘事業に参加して、海外の旅行会社の視察ツアーの受け入れ、ブロガーの招聘、さらにはテレビ取材、雑誌取材の受け入れを行っている。

このような評価にも足立美術館では決してあぐらをかくことなく、県の取り組みにも積極的に参加している。島根県観光課によれば、県の魅力を海外に伝えるのには足立美術館は外せない名所だと言う。
チャーター便や鳥取県境港からのクルーズ船乗客へのPR、定期便のある香港、韓国からの旅行者へのアプローチも怠らない。
館内を案内するパンフレットは5言語に対応し、日本語、英語、フランス語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語がある。音声ガイドは英語と中国語で対応しているが、ニーズによっては今後言語を増やす可能性もあるという。

日本庭園の魅力を世界に知ってもらうというミッションを遂行した結果、ここまで外国人に人気の美術館になったのだろう。その活動はまだ続いていく。

 

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/

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