ユニークベニューの強化で京都らしいMICE戦略を実現

世界が憧れる観光地、京都は、国際会議等の誘致活動にも積極的だ。国際的に誘致競争が激しくなっているが、京都らしい体験を武器に、訴求力を高めている。世界遺産や,国宝クラスの寺社仏閣でレセプション・パーティーを実施することも強みの一つだ。京都のMICE戦略とユニークベニューの取り組みを追った。

二条城の庭園でのパーティーが始まる
二条城の庭園でのパーティーが始まる

ポイント:

・京都らしいユニークベニューの開発で印象に残るMICEの実現
・各施設の状況を京都コンベンションビューローが把握してマッチングを図る

2015年10月、京都にある二条城で、科学系の国際会議を終えた参加者約500名を招いたレセプション・パーティーが行われた。特設ステージでは、和太鼓や舞妓さんの踊りが披露された。

これは、ユニークベニューでのレセプションの例だ。

国際会議や学術会議、企業イベント、展示会等の開催に際し,博物館・美術館、神社仏閣、歴史的建造物のほか、庭園や商業施設、劇場など、特別感や地域特性を演出できる会場をユニークベニューと呼び,主催者からのニーズは益々高まっている。
最近では、各国や地域特有の魅力を発信することでMICE(※1)の開催地決定の重要な訴求ポイントにもなっている。

※1:MICEとは、一般的に学会・企業・国際機関等が行う会議等のイベントを総称していう。

観光庁が選定した「グローバルMICE戦略都市」(※2)の一つに京都が選ばれている。

※2:東京、横浜、京都、神戸、福岡の5都市が選定されている。

MICEの誘致競争が国際的に激化する中、海外競合国・都市との厳しい誘致競争に打ち勝ち,MICE誘致競争をけん引することができる実力ある都市に対し,国として集中的な支援を行い、都市の自立的な取組みを促していこうという背景がある。

京都市は、地元の強みを活かしたMICE誘致を強化している。大学との連携強化、MICE協議会設立、支援制度の拡充、ユニークベニューの開発、外国人参加比率国内1位の堅持など目標を掲げている。

そして、大規模国際コンベンションに対する開催支援助成金「京都市大規模国際コンベンション誘致支援助成金」の上限額を現行の300万円から1,000万円に大幅に拡大するなど、取り組みが活発化している。

ザ ソウドウ東山京都は和モダンなたたずまい
ザ ソウドウ東山京都は和モダンなたたずまいが人気だ

京都文化交流コンベンションビューロー(※3)では、MICEに向けた訴求ポイントは、4つあると担当の松井良彰氏はいう。

※3:京都市の文化発信事業と国際観光プロモーション事業、及びコンベンション(MICE)サポート事業を3つの柱とした公益法人、略してKCVBともいう。以下KCVBという。

①:伝統と革新の調和のまち 京都
1200年を超える歴史に育まれ、優れた歴史的景観がある。一方で、世界の最先端を行く大学・研究所・企業が集積する「学術都市」「ものづくり都市」でもある。まさに伝統を保ちながら革新を続けている。

②:日本の文化首都・世界No.1の観光都市 京都
京都には、17のユネスコ世界文化遺産と約2,000以上の寺社がある。
加えて、世界で大きな影響力をもつ旅行雑誌のひとつ、「Travel+Leisure」の読者ランキングにおいて、京都は世界一魅力的な都市に2年連続で輝いた。

③:グローバルMICE戦略都市 京都
MICE開催都市として様々な開催支援・サポート実績を有している。加えて、KCVBは、MICE振興の国際機関ICCA(International Congress and Convention Association)のメンバーとしてのノウハウもある。

④:おもてなしのまち 京都
京都市とKCVBでは、2020年に向け“世界があこがれる観光都市”をめざし、「京都観光振興計画2020」を掲げ、宿泊施設はもちろん市民レベルでのおもてなしなどの充実を図っている。

さらにここ最近、力を入れているのがユニークベニューの利用促進だ。
ユニークベニューは,MICEの開催に際し,その土地ならでは感(ユニークさ)を演出することができるため,MICE誘致に必要不可欠な要素といえる。公共の施設や世界遺産など、世界に二つとないベニューをセッティングすることも誘致の決め手になる。

ユニークベニューの利用促進とPR、利用に関するコンサルティングを中心的に進めているのが、KCVBだ。登録件数も、同団体が発行する2010年の冊子掲載は7施設だったが、2015年には18施設になっている。

二条城、京都国立博物館、建仁寺、京都水族館など京都を代表する施設が登録されている。寺社を利用することで、京都の強みを最大限に活かし、日本らしさの体験を提供できる。
お寺でのレセプション・パーティーは、主催者側にも印象に残ると評判も上々だ。参加者の満足度が高く、結果、他の国際会議の京都開催決定要因にも大きく貢献している。

建仁寺でのパーティー、祇園にも近く立地がよい
建仁寺でのパーティー、祇園にも近く立地が良い

KCVB担当の松井氏によると、施設の登録は、KCVBからアプローチする場合、地元キーパーソンから紹介をいただく場合など、まちまちだそうだ。
いずれにしても説明に足を運び、双方にとってのMICEの意義やユニークベニューの必要性、登録のメリット等を伝える。

掲載の許諾を得た施設は,京都コンベンション施設ガイドに掲載され,冊子や電子データとなり,国内外の主催者に対しPRされる。
https://meetkyoto.jp/ja/ (日本語版)

一方、国際会議の主催者と施設が契約に至るまでは、ケースバイケースである。
例えば、○時間で○○円と料金表が明確な場合、その都度見積もりを取る場合などがあり、納得のうえで契約になる。
ところが,普段パーティーベニューとして貸し出しをしておらず,特別に貸し出すことのできる施設の場合は、まずは主催者側の熱意が大切だと松井氏は話す。金額の多寡の問題ではなく、どうしてもその施設でなければならない必然性や開催するメリットなどをしっかり示して、そのうえで施設が利用可否判断をして開催にこぎつける。

KCVBでは、常に情報収集をして、施設側の様々な状況を把握する。主催者から相談があった場合、コンサルティングするためだ。

ユニークベニューの課題は、屋外での運営面だという。バックアップ施設を借りたり,屋外テントの用意,雨天判断のタイミングなど雨天対策が悩ましい。また歴史的・文化財的にも価値があり,古い建物が多い為,施設の養生・保護にも気を配る。

京都市は、国際会議や企業の会合・報償旅行などのMICEが開催されることで、経済効果はもちろんのこと,新たなビジネス機会の創出や新産業の創出等、京都のブランドイメージ向上につなげていきたいと考えている。そして、個人旅行者として、リピート客誘致に期待している。

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/