長野県白馬村では、マナー条例の制定によって、外国人旅行者とより良い関係を構築!

長野県白馬村は国内有数のスキーのメッカで、かつて長野オリンピックの会場にもなった。現在、スキー客はピーク時の約40%と激減したが、外国人観光客の数は増えている。しかし、その数が急速に増えたために、トラブルも発生している。そこで、より良い村づくりに向け、マナー条例が2015年12月に制定された。

白馬三山をバックにする外国人スキーヤー
白馬三山をバックにする外国人スキーヤー

ポイント:

・条例として明文化することでルールが明確になり理解が広がる
・美しい村の実現を目指してマナーを重視する

■スキーを目的に白馬村を訪れるオーストラリア人が急増中!

長野県白馬村では、2015年12月18日にマナー条例が施行された。正式には、「美しい村と快適な生活環境を守る条例」と言う。条例では、酒を提供する飲食店の午前2時以降の営業や、歩きながらの飲酒、喫煙などを禁止している。さらに、午後10時〜午前6時に花火をすること、路上でスキーやスノーボードをすることなども禁じている。

マナー条例制定の経緯としては、外国人観光客が増えたことが背景としてある。

外国人宿泊者数の記録を白馬村が始めたのは2002年からだ。そのときは、わずか2,930人泊だった。それが、2011年には56,024人泊、2014年は77,724人泊と、ここ10数年で大幅に増えている。長野県はオリンピック開催地として既に知られていて、観光協会の行う海外へのプロモーション戦略も功を奏してその数が増えていった。

また、外国人旅行者の特徴として、スキーのニーズが圧倒的に高く、12月から3月の旅行者数が年間の90%を占める。また、オーストラリアからのシェアが60%と高い。

全体(日本人客と外国人客の合計)のスキー客数は、1992年の約280万人をピークに下がり続け、ここ数年は100万人前後で推移している。その数はピーク時の41%になっているのだ。そのなかで健闘しているのが外国人旅行者で、最近はシェアが7%を上回っている。
そして、外国人旅行者数の急増に伴って、彼らと住民との間でのトラブルも増えていったのだ。

■なぜマナー条例が必要なのか?

では、具体的にどのようなトラブルが発生しているのだろうか。

例えば、ゴミの路上への放置や深夜の花火が挙げられる。また、酒量が多く、酔っ払って夜中に大声で騒ぐといったこともある。
他に、帰る宿が分からずに違う宿に入ってしまい、そのままロビーで無断で寝るといった行為が何度もあったという。

このような問題をうけて、村では2013年に外国人共生会議を持った。警察関係、消防関係、保健所、商工会、スキー場関係、宿泊施設、防犯指導員などが集まり、対策について話し合いが行われたのだ。

その段階では、注意を促すポスターやチラシが作られたが、あまり効果が上がらなかった。

そこで、2015年6月に、条例により、禁止事項等を明文化していく方針となった。
目的としては、モラルを向上させ、マナーを守り、快適に過ごすことのできる村を作り、誰もが美しい村だと誇れるようにすることだ。

■条例の制定に向けてのプロセス

まずは、役場ではどういう行為が問題かを、観光協会や観光施設に対してヒアリングした。また、外国人観光客だけでなく、日本人観光客や村民同士での迷惑事項もアンケート調査を行うなどしてリストアップした。

さらに、先進地の事例も参考にすることにした。
具体的には、2015年8月に役場の総務課職員が北海道の倶知安町、ニセコ町を視察した。そこでも、オーストラリア人観光客が急激に増えて、同じような課題に直面したそうだ。そこで、条例ではないが、禁止事項を明文化して「要綱」とした結果、ルールが守られるようになったという。

くわえて、2015年11月には村内在住のオーストラリアやアメリカ出身者8名を招き、条例制定について意見を聞いた。
「海外では泥酔した客に酒を提供すると店の責任が問われる。日本でも規制が必要」といった意見や、「路上スキーは海外では当たり前」との指摘も出た。

それを受けて、この条例には、白馬への来訪者のみならず、この地に暮らす村民も、自覚を持って守っていかなければならない事項が明記されることになった。

そして、2015年12月に条例が施行された。さっそく、英語と日本語併記のポスター、看板、チラシを制作して村内で配布したのだった。

日本語と英語併記の禁止事項を明記したポスター
日本語と英語併記の禁止事項を明記したポスター

条例により、禁止事項が明確になったのは良かったと概ね歓迎されているが、初めてのシーズンが終わり、住民の意見はまちまちだと、村の担当者は話す。大騒ぎが減ったという意見もあれば、まだまだ騒がしいという意見もあるという。

一方、白馬在住のオーストラリア人からは、「ルールがあれば守る」という意見があった。やはりただの注意喚起と条例では、重みが違うのだろう。住民サイドも条例だからという言い方をすることで、外国人に積極的に注意を促せる。
今後も、村内に住んでいる外国人と意見交換会を継続させ、さらなるブラッシュアップをしていきたいと担当者は話す。

■外国人との共存共栄を目指す

条例のベースになっている考え方は、白馬村を美しい村として存続させることだ。
白馬村としては、日本人スキー客が減っている現状を鑑みれば、海外からの外国人スキーヤーは大歓迎で、もっと多くの外国人に訪れてほしいと意欲的だ。
しかし、無法地帯としてルールやモラルがおざなりになれば、日本人はもちろん外国人もリピートしなくなってしまう。
外から来た観光客が、「白馬は美しいところだった」と、思い出に持って帰ってもらいたいというのが、白馬村の思いなのだ。

「訪れて良し、住んで良し」の美しい村の実現のために、旅行者と住民が安心と安全を維持していく取り組みが続く。

スキー目的で滞在中のオーストラリア人の家族
スキー目的で滞在中のオーストラリア人の家族

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/