岐阜県・長良川の「鵜飼」に外国人観光客が2014年に急増

鵜飼の外国人観光客数が、2014年に突如増加した。なぜなのだろう? この年、海外からのメディア取材が多かったことも要因だ。これほど多いのも珍しいと地元の観光協会。メディア招請をしたわけでもない。鵜飼など長良川の地域資源を守ってきた伝統に、世界が注目し始めたのだ。

真っ赤な松明をたよりに鵜飼に励む
真っ赤な松明をたよりに鵜飼に励む

<今回のポイント>
1:地道なプロモーション活動が、やがて結果となる
2:地域資源を大切に守り続けることが観光につながる

長良川の鵜飼を訪れた2014年の外国人観光客は2,476人で、その前年に比べて72%も増えた。日本人観光客を含めた乗船客全体は102,714人で2%減っている中、かなり健闘したといえる。
日本人客に比べれば、わずかなシェアでしかないが、大きな一歩といえそうだ。

2014年の外国人観光客の急増は、岐阜観光コンベンション協会でも驚いているという。
インバウンドに関して、岐阜市としては2008年度から力を入れ始めたが、これほど急激な伸びをみせたことはなかったという。

乗船料金を外国人観光客8人以上の団体は、大幅割引として、通常一人3,400円のところ、2,000円とした。
海外での商談会で、現地の旅行会社にこの割引制度について積極的に案内していった。

それともう一つ。メディアの取材が多かったことも、反響を呼んだのではないかと、同協会はみている。

昨年だけでも、タイ、スペイン、マレーシア、イギリス、香港、台湾からのメディア取材が入った。すべて映像だ。特にタイからは、同国で有名な大物芸能人がレポーターとしてやってきた。その番組の効果も大きかったのだろう。
同協会では、海外メディアの受け入れ窓口となり、取材に同行し、解説もする。ダイレクトに現地から相談が来る場合もあれば、現地のJNTOオフィスを通して連絡が来る場合もあった。

鵜飼に対して、これほど海外からメディア取材が多かった年は珍しいと振り返る。

決して、メディア向けにプロモーションをしたわけではない。タイのTITF(バンコクで開催される一般向け旅行フェア)やマレーシアのMATTA(クアラルンプールで開催される一般向け旅行フェア)、台湾のITF(台北で開催される一般向け旅行フェア)など海外旅行のイベントで、地道にプロモーションをしてきただけだと同協会。

もちろん岐阜の観光素材は、その他にもあるが、鵜飼はキラーコンテンツとして常にフロントに掲げてきた。Webサイトでもトップ画面には鵜飼の画像がある。

鵜飼の1300年の歴史という誇りが、鵜飼を軸としたプロモーションを継続させている。

日本の鵜飼は、岐阜県、愛知県、京都府、愛媛県、大分県、福岡県など11府県、12箇所で行われている伝統的な漁法であるが、ここ岐阜県は、唯一、皇室の保護のもとに行われている。宮内庁は鵜匠に職員の身分を与えているのだ。
また2015年3月2日には、「長良川の鵜飼漁の技術」が国の重要無形民俗文化財に指定された。
さらに地域をあげて、世界無形文化遺産代表リスト記載に向け、取り組みを行っている。

2012年8月には、岐阜市長良鵜飼屋の地に“長良川うかいミュージアム”が誕生した。鵜飼の価値を分かりやすく紹介・情報発信する場として通年営業を行っている。

海外のメディアが注目した理由としては、やはり日本の伝統がしっかり息づいているからだろう。

伝統装束に身を包んだ鵜匠が「ほうほう」と声をかけながら鵜を自在に操って鮎を狩る。燃え盛る篝火は、見る人を幽玄の世界へ誘う。
鵜匠の装束は風折烏帽子(カザオリエボシ)漁服、胸あて、腰蓑、足半を身に着けていて、外国人にはエキゾチックに映るようだ。

鵜飼のシーズンは、5月11日~10月15日と決まっている

夕方、6時15分、6時45分と7時15分発の乗合船があり、鵜飼が始まるまでの間、金華山など暮れかかる景観を楽しみ、途中、岸に寄せて食事等をしながら自由な時間を過ごす。

実際に鵜飼が始まるのは、完全に暗くなる7時半頃からだ。
それまでに、ボランティアガイドが鵜飼について英語で解説をする。
船頭も可能なかぎり英語を話せるスタッフをあてている。
英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語のパンフレットも準備した。

メディアの取材も増え、さらに外国人観光客が増えた背景には、リピーターの存在もあるだろう。最初の訪日は、都市が中心になるが、リピーターとなると、やはり日本らしさの残っているエキゾチックなエリアを求める。岐阜市の場合は、鉄道で名古屋と大阪を結ぶ動線上にあり、ロケーションに恵まれている。

鵜飼は夜に行われるため、宿泊が岐阜市内になる。経済効果も上がる。

長良川流域では、世界農業遺産への登録を目指しているという。

岐阜県南部を流れる長良川は、流域の人々のくらしの中で清流が保たれ、その清流で鮎が育ち、清流と鮎は地域の経済や歴史文化と深く結びついている。

長良川におけるその循環は、人の生活、水環境、漁業資源が相互に関連している世界に誇るべき川のシステムであると岐阜県の農政部。

2014年3月には、長良川中流域における岐阜のまちなみが、東海地方では初めて国の重要文化的景観に選定された。

伝統を受け継ぎ、地域資源を育む。その大枠の中の「鵜飼」が、海外から注目されつつあるようだ。

屋形船に乗って鵜飼を間近で見学する
屋形船に乗って鵜飼を間近で見学する
長良川の夕景、金華山を臨む
長良川の夕景、金華山を臨む
長良川流域では世界農業遺産を目指す
長良川流域では世界農業遺産を目指す

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/