福井県の三方五湖が福井県・石川県とのPR活動が実り、台湾人観光客が急増するも現在伸び悩み

福井県の三方五湖を訪れる台湾人観光客が、2013年に急増した。
福井・石川両県が初めて、合同観光プロモーションを行ったことが大きい契機となった。
二つの県が合同でやるのには、「2012年の9月からの小松―台北便の週5便化を契機に、さらなる台湾からの誘客を図る」という明確な目的があったからだ。助成制度も急増に一役かったが、要件の変更により、盛り上がりが継続できなかった。やはり知名度の向上が必要だった。

福井県と石川県で合同で台北旅行社を訪問
福井県と石川県で合同で台北旅行社を訪問

今回のポイント

1. 地域連携で新コースを提案
2. 知名度を向上させないと、一過性で終わる場合も

 

台湾からの福井県での宿泊を伴う観光客は、それまで徐々に増加傾向にあったものの、東日本大震災の影響により大幅に減少していた。したがって、回復へのてこ入れ策が急務だった。
さらに2012年9月からエバー航空の小松―台北便が週4便から5便に増便され、同年12月5日からはデイリー化した。この機を捉え、小松空港イン・アウトの観光客を新たに呼び込む狙いがあったのだ。
福井県には国際空港がなく、隣の石川県の小松空港を海外からの玄関口としている。

施策として行ったのが、2012年の10月8日、9日に台北市において、石川県・福井県合同の旅行社訪問、観光商談会、観光セミナー・交流会だ。
福井県が主体的に動き、県のインバウンド関連の事業者が参加。

福井県としてはエバー航空のキーエージェントとの関係構築につながるよう福井県の観光スポット、越前ガニや恐竜博物館を組み込んだモデルコース、県の助成制度(※1)を中心にPRをした。

※1 助成制度とは
東日本大震災の影響で落ち込んだ観光客数を戻すために、東アジア方面からの観光客21人以上を誘致した場合に助成する「東アジア観光客誘致拡大事業」のこと。一人について1000円の補助と、小松空港等を利用する場合は500円を加算する。1社について年間150万円を補助上限額としている。2011年度からスタートしていた。福井県観光連盟は、県から委託を受け、東アジアから福井に観光で訪れ宿泊する団体の誘客に助成をしている。

これまでの芦原温泉・東尋坊・永平寺のコースに加え、恐竜博物館やスキージャム勝山等を組み合わせたコース(小松イン・アウト)のほか、
京都・天橋立・三方五湖の周遊コース(関空イン・アウト)等の新たな旅行商品を造成しアピールした。

三方五湖をコースに組んだ台湾の業者に対する2011年度の助成実績はわずか35人だったが、12年度は305人と約10倍になった。
このうち250人が2012年の12月以降に訪れており、台北でのPR効果が如実に表れている。

三方五湖とは、若狭湾国定公園を代表する景勝地の一つで、三方湖・水月湖・菅湖・日向湖・久々子湖からなり、それぞれ含まれる塩分の濃度が異なり、五色の湖とも言われている。万葉集にも謳われるほど、美しい景観だ。

風光明媚な三方五湖は、湖ごとに色が違う
風光明媚な三方五湖は、湖ごとに色が違う

実際に合同セールスに出向いた直後、台湾大手の旅行会社からオファーがあったというのは、インバウンドに力を入れている観光ホテル「水月花」だ。

三方五湖の一つ、水月湖畔にある観光ホテル「水月花」統括支配人の和田さんによると、
「通常、4月は越前ガ二シーズン後の閑散期だが、30部屋ある客室の稼働率が今年は8割超で例年の2倍」。
モーニングクルーズが人気になったといい、4月は343人が宿泊した。

東南旅行社からインセンティブ旅行の引き合いが10本もあったのが大きく押し上げた要因だった。
もともとモーニングクルーズは、日本人向けにもやっていたのだが、あまり売れなかった。ところが、台湾人向けにも企画したところ、これが当たった。同じ設備だから、追加投資の必要はない。

成功の要因は何だろうか?

和田氏によると、台湾の旅行会社は、京都から離れた観光地で、何か特別な場所を探していたのでは、という。
台湾人の日本観光のリピート率は高いので、定番とはひと味違った観光地を求めていたのだろう。

三方五湖を訪れた台湾人の評価は高い。
恋人の聖地(レインボーライン山頂公園にある)からの三方五湖の眺望が素晴らしい。
モーニングクルーズでは、新緑の山々を望む景色を背景に、写真撮影を楽しんだという声もあった。

2012年の台湾人の福井県内ののべ宿泊数が、3,950泊のところ、2013年は、のべ9710泊と急増した。各国を合計すると28,460泊になり、いかに台湾人の比率が高いかがうかがえる。

しかし、課題も多い。

補助制度の利用が、2014年度は2013年度の10分の1に激減しているのだ。
小松空港をインかアウトで利用するのが条件に変った。
また、唯一のエバー航空便は、機材が150名乗りとやや小さく、フライト時刻も夕方と、団体ツアーには不向きだと和田さん。

同氏によれば、台湾人旅行者の内訳は、インセンティブツアー(企業の報奨旅行)が中心で、その一組だけで100人の集客だった。そのため、エバー航空便とは相性が悪い。小松空港を利用しないのであれば助成金申請もできない。

もっとも助成金は一つのファクターであり、やはり福井県の知名度が低いことが要因だという。

和田さんによれば、現地の旅行会社に、やっと福井県の知名度が浸透しつつある。しかし、まだ一般旅行者には知られていない。魅力を知ってもらう努力を継続する必要がある。

福井県の観光振興課は、2015年1月に、台湾から3人の女性ブロガーを招聘して、福井県全域を一緒にまわった。
リアルタイムの情報発信とブログでのコメントをしてもらう。
福井県の知名度向上の取り組みが続く。

観光商談会で福井の魅力を個別に説明
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観光セミナーでプレゼンテーションをする
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三方五湖をクルーズする遊覧船
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取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/