映画やドラマの成功で佐賀県にタイ人が急増、満足度を高めてリピート客に!

佐賀県を訪れるタイ人観光客が急増している。なんとこの2年間で10倍超に増えているのだ。これには佐賀県をロケ地としたタイの映画やドラマが大きく影響している。しかし、ロケ地巡りは瞬発力がある反面、持続性に乏しく、作品が忘れられると客足も減る。今後に向けた取り組みを追った。

祐徳稲荷神社には、毎日多くのタイ人が赤い鳥居の前で記念撮影
祐徳稲荷神社には、毎日多くのタイ人が赤い鳥居の前で記念撮影

ポイント

・タイ人にターゲットを絞った戦略で300%の伸び
・県独自のタイ語対応観光アプリ&コールセンターで受入環境を整備

■誘致した映画やドラマが次々とタイで大人気!

タイの映画やドラマのロケを誘致し、多くのタイ人観光客を集客している佐賀県の取組が注目を集めている。フィルムコミッションが、今後の市場の成長性からタイに訴求したところ、着実に成果をあげてきたのだ。

佐賀県の外国人宿泊客数は2012年以前には40,000人前後で推移していた。
しかし、2013年に55,550人だった宿泊客数が2014年には90,540人と前年比164%増で伸び率全国3位、さらに2015年は約191,120人と前年比210%で伸び率全国4位と急激な増加を示している。
この背景には地道な国際線誘致とそれに伴う乗客数増加の施策がある。2012年には中国・上海と結ぶ春秋航空、2013年には韓国・ソウルと結ぶティー・ウェイ航空がそれぞれ就航し、乗降客数が増加した。これに併せて、佐賀県内を回遊してもらおうとシャトルバスなどの公共交通機関を整えたり、海外プロモーションも行ってきた成果といえる。

そのうちタイ人宿泊観光客数は、2013年370人、2014年1,540人(前年比416%)、2015年4,680人(前年比300%)であり、全体の伸び率以上の増加となっている。これだけの集客に成功した要因は、誘致した映画やドラマの相次ぐヒットが挙げられる。

佐賀県を舞台にした映画「TimeLine」は、2014年タイ映画の興行収入ランキング5位と人気を博した。また、2015年には「LINE」TV(※1)でのドラマ「STAY」がヒットした。

「Time Line」主演女優のジャリンポーン・ジュンキアットさん
「Time Line」主演女優のジャリンポーン・ジュンキアットさん

※1:世界初のLINEが提供する無料TV番組で、スマートフォンやPCで観ることが可能。

「STAY」は、「LINE」TVグランドオープンの目玉コンテンツとして注目を集め、「1時間✕4話」の構成で、1,000万回以上再生されたというから人気の高さがうかがえる。その後地上波でも2回再放送された。

LINE TVの第1弾作品となった「STAY」のポスター
LINE TVの第1弾作品となった「STAY」のポスター

これらのタイミングをとらえて、佐賀県は、2014年以降、タイ現地で観光セミナーや知事をトップとして、県内旅館関係者も多く参加した“ナイトカフェ(一般消費者向けのパーティー・イベント)”を行ったり、TITF(タイ旅行博)に出展するなどのプロモーションを行ったりした。また、メディアや旅行代理店のファムトリップ(視察旅行)を実施し、人気旅行雑誌などメディアの単独取材も相次いだ。
これらの取組が功を奏し、タイにおける佐賀県の認知度が格段にアップしたのだ。

さらに、ロケ地を巡る旅行商品ができ、個人旅行向けのモデルコースがメディアに紹介されることで、実際に佐賀を訪れるタイ人観光客もうなぎ上りに増えていった。一方で、95%以上も佐賀でロケがなされた「STAY」の国内での独占的放映権を取得し、県内の放送局で放映するなど、タイのお客様を県民挙げておもてなししようという取り組みも行った。

ロケ地として有名になった祐徳稲荷神社には、今では毎日30人、多いときには300人が訪れるという。
いかにもタイ人の好みである朱塗りの鮮やかな色彩の神社では、記念撮影をしているタイ人をよく見かける。ここでは、日本でも珍しいタイ語のおみくじが登場している。

境内ではタイ語で書かれた絵馬がぶら下がる
境内ではタイ語で書かれた絵馬がぶら下がる

以前は休日でも閉店していることもあった参道の出店には、お土産をタイ語で表示したチラシやポスターをみかける。着物レンタルや着付けのビジネスを実施し、人気を集めている店もある。地元の鹿島市では、タイ語の交通案内サインを掲示し、タイ人にも好評だ。

 

■満足度をあげる受入環境の整備はタイ語アプリと24時間対応コールセンター

一方で、ロケ地巡りは一過性のもので終わってしまう可能性もある。
そのため、受入環境を整備して、訪日客の満足度を高めることが大事だと考えている。

具体的には、2014年から佐賀県では、タイ語、英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)での観光アプリサービス「DOGAN SHI TA TO」(どがんしたと ※佐賀の言葉で「どうしたの」という意味)を配信している。2015年1月~10月のユーザー数の内訳は、タイ語が繁体字と韓国語と並んでそれぞれ4分の1を占めている。来県数の割合から計算すると、タイ人に突出して人気だとうかがえる。このアプリでは、「STAY」や「TIME LINE」のロケ地巡りサービスも行っている。

同時にこのアプリでは、旅行者も事業者も無料(通話料は負担)の24時間対応のコールセンターをスタートした(現在12か国語に対応)。「ロケ地になっている鏡山にはどのようにしたら行けますか」などのタイ語での問合せに対しては、タイ語で対応するサービスを行っており、旅行者の不安を低減させている。

 

■リピート意向率100%を目指して

もちろん、佐賀県はタイ人旅行者のドラマブームだけで満足しているわけではない。

「佐賀県観光戦略」では成果指標として①リピート意向率100% ②2016年の外国人観光客数目標 17.2万人(2013年実績5.5万人の3倍超)を掲げている。

観光地として存続・発展するためには、新規の訪日客を獲得しつつ、実際に訪れた観光客を満足させてリピートさせる必要があり、県でも、映画やドラマのヒットで注目を浴びた「SAGA」のファンになっていただけるような仕掛けを行っている。

また、タイでは、日常生活を切り取った写真をふんだんに使った旅行本(ガイド本)が人気である。そこで佐賀県では、タイ人の有名な編集者にタイ人が好むスタイルの佐賀のガイド本の作製を依頼し、今年2月にタイ語のガイドブック「佐賀がんばって!」を発刊し、さらなるプロモーションを続けている。

佐賀県は、フィルムコミッションでの誘致の成功を外国人観光客の誘致にうまく結び付けている。今後とも注目していきたい。

取材:やまとごころjp
(インバウンド業界のポータルサイト)
http://www.yamatogokoro.jp/